トランプ大統領の「真珠湾発言」は本当?
- アメリカのワシントン・ポスト電子版が、6月のトランプ大統領と安倍首相との会談の中で貿易問題に関連して「真珠湾攻撃を忘れないぞ」と述べたと報じた。
- 菅官房長官は、上記の事実はないと否定した。
参照元:7月の北との極秘接触報道 菅義偉官房長官コメントせず トランプ「真珠湾」発言は否定 - 産経ニュース
まず、ワシントン・ポストはトランプ大統領の真珠湾発言を誰に聞いたのでしょうか?一部報道では、関係者の話としていますが、誰なのかはっきりしない人物の発言と内閣官房長官の発言のどちらが信用できるのかということに尽きると思います。菅官房長官が、都合が悪い話なので嘘を言っている可能性は否定できませんが、出処のはっきりしない情報よりも菅官房長官の記者会見での発言のほうが信用できます。したがって、現時点では、「真珠湾発言」はなかったと捉えておきたいと思います。
一方で、
アメリカのトランプ大統領が、「真珠湾攻撃を忘れていない」と述べて、安倍首相に対し、対日貿易赤字への不満を示していたことがわかった。
出典元:トランプ氏「真珠湾」発言 安倍首相に“不満” - FNN.jpプライムオンライン
と報じたメディアもありました。「真珠湾発言」を否定した官房長官記者会見は8月29日の午前中で、この記事が書かれた時間は、29日の19時近くになってからです。官房長官が発言を否定していることを知っているはずですが、「真珠湾発言」を事実と認定しています。独自の情報を掴み、事実としているのかもしれませんが、根拠を示せば、読者も納得出来ると思います。
また、『政府「真珠湾」発言否定に躍起=揺らぐ日米蜜月』と報じているメディアもあります。そのメディアは、以下の2つを持って、「発言否定に躍起」になっていることを示していると思います。
「指摘のような事実はない」。菅義偉官房長官は29日の記者会見で、トランプ氏から批判を受けたのは事実か問われると、きっぱりと否定した。同じポスト紙が報じた日朝極秘接触の真偽をただされ、「報道の内容の一つ一つにコメントすることは控えたい」と論評を避けたのと対照的だ。
(略)
政府高官は「大統領が日本に不満なんてあるわけがない」と打ち消しに走っているが、日米関係が総裁選の主要な論点になるのは確実だ。
出典元:政府「真珠湾」発言否定に躍起=揺らぐ日米蜜月:時事ドットコム
記事によるとトランプ大統領が日本に不満がないという文言が出てきますが、これ自体おかしなことで、トランプ大統領は対日貿易赤字や米軍の駐留経費等の問題で大きな不満を持っていることはよく知られていることです。政府高官が果たしてそのようなことを言いながら、打ち消しに走り回るのでしょうか?また、菅官房長官は、日米関係が非常に重要なので、真珠湾発言に対して明確に否定したと思いますが、これだけをもって、「発言否定に躍起」は表現が飛躍しすぎていると思います。
今回の真珠湾発言を前提にして「揺らぐ日米蜜月」という文言と作ったと思いますが、前提となる真珠湾発言自体の信憑性がはっきりしないので、「揺らぐ日米蜜月」に違和感を覚えます。さらに言えば、8月22日にアメリカからの要請により、日米首脳で電話会談を行ったことは、考慮しないのでしょうか?