厚労相「仏でのコンセッション方式(民営化)の水道事業の97%は再公営化していない」
12月7日の根本厚労相の会見
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それから海外で再公営化の話がありましたが、海外の再公営化事例180あるいは235と言われておりますが、都市で再公営化している、例えばそのうち半分ぐらいはフランス、アメリカ。フランスについては、例えば4,720のコンセッション方式で導入された事業のうち97%はそのまま継続してコンセッション方式でやられている。これはフランス水道協会の出典です。それからアメリカでも官民連携契約で約2,000件以上が官民連携契約をやっていますが、その93%が更新されていますから、世界で公営化の流れかどうかというのは、私はこの事実をもってそれは判断が分かれると思います。
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引用元:根本大臣会見概要 |大臣記者会見|厚生労働省
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所見
6日に、改正水道法は可決されたので、今更取り上げる話題でもないかと思いましたが、あまり知られていない情報かと思ったので、取り上げました。
改正水道法に反対される方は、再公営化例を取り上げます。しかし、大臣の発言通りならば、フランスにおいて、コンセッション方式の水道事業が4000以上もあり、97%コンセッション方式を継続しています。
4000件以上という数字は多すぎると感じましたが、15年前の日本の市町村数が約3000あったので、妥当な数字かと思いました。これらの数値を見ると、水道事業にコンセッション方式を導入しても、問題ないように思えます。
しかし、以下の記事によりますと、
厚生労働省の報告書では1992~2007年で民営化後に再公営化した水道事業は全体の4分の1に達しているにもかかわらず「官民連携が単純に失敗と判断を下すことはできない」と結論づけている。
引用元:問題だらけの水道民営化 パリやイギリスではすでに失敗した政策がなぜ進められるのか|ニフティニュース
とあり、先の大臣が示した実例と異なり、混乱します。
この数字の出処は以下の資料と推測されます。
1992~2007年で、途上国と移行国※において、合計で約2億500万人に対して官民連携事業による給水がなされている。
このうち、再公営化した水道事業によってサービスを受けているのは約4,500万人。
※移行国:東西冷戦が終結し、旧社会主義諸国の中央計画経済から市場経済へ移行することになった国
引用元:https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10601000-Daijinkanboukouseikagakuka-Kouseikagakuka/0000137548.pdf
注意すべきは、水道事業の4分の1が再公営化しているのではなく、人口比率で約4分の1が再公営化した水道事業のサービスを受けていることです。人口の多い地域で官民連携の水道事業が再公営化されれば、当然、再公営化した比率は高く示されます。
さらに、途上国と移行国における数字であり、先進国は再公営化は加味されていません。ですから、「官民連携が単純に失敗と判断を下すことはできない」という厚労省の結論は間違えではないと思います。ですが、厚労省は、事業数で数値を示すべきだったと思います。
問題は、記者会見時の大臣の発言が国会中になされたかどうかです。フランスでは、97%継続中というデーターを示せば、反対した人たちも納得し、もっとスムーズに議論ができたのではないでしょうか。
いずれにせよ、コンセッション方式を導入したとしても、民間企業は、水道事業の運営のみを受け持ち、水道事業主はあくまでも自治体であるので、民間企業のやりたい放題にはならないと思います。
参考:総務省|市町村合併資料集|市町村数の変遷と明治・昭和の大合併の特徴
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